子供をもつと本が違った感想に

ふと先日、昔読んだ本を読みたくなったので、2冊ほど読み返しました。

本を読んだ感想は、その時の自分の状況により受ける印象が違うとよく言いますが、本当に違った印象を受けたので書いてみたいと思います。

 

アルジャーノンに花束を

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こちらは、知能の発達に障害を持つ主人公が研究者に言われて日記を書いて自身のこと報告していくスタイルのSF小説です。頭の良くなる手術を受けて、日常が変わっていくことが克明に記録されているのですが・・・。

こちらの話のオチはさておき、最初のころは純粋な主人公がだんだんと知恵がついて、様々な葛藤にさいなまれていく様子が、子供の成長に重なるところがありました。

学生の頃に読んだ全体の印象は、どちらかというと主人公の視点で読み進めていき、今まで自分を笑いものにしていたやつらに対して腹が立つといった立場で読んでいました。頭の良くなっていく主人公に対しては痛快な思いもあり、彼の成長に喜びを感じたものでした。

ところが

自分に子供が生まれた後に読んだ感想としては、純粋な主人公が成長していく流れに不安を覚えました。今までのことが自分の感じていたことと違い、ショックを受けるあたりは主人公のショックを想像するとかわいそうで仕方がなく感じました。それと、正しくはないですが、いじめられていたことがわかるということが今までの幸せだと思っていた日常を一気に反転させてしまい、彼は不幸を感じるようになります。最終的なオチを考えると、はたして彼は知恵を得ること、本当のことが理解できるようになったことが幸せだったのだろうか・・・と強く疑問に思います。

 

自分が若いころは「主人公視点」、子供を持つ親になった今は「成長を見守る第三者視点」で読むようになったので、読んだ印象が全然違ったのかなと感じます。

 

 

記憶喪失になったぼくが見た世界 坪倉優介

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事故で記憶を失った青年が日常を取り戻していく実話のお話です。初版がいつかわからないのですが、まだ自分に子供がいなかった頃の10数年以上前に読んだ記憶があります。

昔読んだ感想としては、ただただ不思議な話だなぁと、「初めての体験というのはこんな風に感じるのか」と全く感情移入もせずに知的探求心のみで面白がって読んでいました。

ところが

自分に子供が生まれた後に読んだ感想としては、本の中で何かイベントがあると、ストレートに自分の感情や感覚を表現してくれるので、こういう時にはそういう感情なんだ・・・と自分の子供に重ねて考えてしまいます。

自転車に乗るときに周りの大人がやいのやいの言うのですが。主人公の坪倉さんはそんなことは耳に入らず、ただペダルを踏んで前に行くことに集中します。このあたりが「子供の自転車の練習」と重なるところがあって、こういった状態だとあれこれ言ってもダメなんだな もっと時間をおいてわかりやすく説明しないと、と考えられるようになりました。

 

どちらの本も自分の行動があっているかわからずに手探りで成長していくさまが書かれています。確かに自分も大人になる前は、親や他人の顔色を窺って「これは大丈夫なんだろうか?」と気にしながら生きていたことを思い出します。

常識といますか、世の中の一般的なルールがわかる前の主人公が感じる「心の葛藤」が読んでいてつらく感じました。これらの2冊の本を読んだ今では、もっと安心していいんだよと子供に言ってあげたい気持ちです。

Takashi

ワーキングホリデーで2か国、ネットショップ実務士、健康管理士として様々な体験をしてきた管理人です。いつか山を一つ買い取って桜の木を全体に植えて”桜の山”を作ることが夢です。

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